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第34話 否定できない

作者: 雨音休
last update 公開日: 2026-05-10 06:15:22
 およそ一年前。

 法学部の大学院卒業後。司法試験に落ち続けたユウマは、東京のとある大手某食品メーカーに勤めていた。部署は宣伝部。若輩ながらも一般社員より上の位である。大学の教授のつてで入社したこともあり、入社試験で優秀だったこともあり、ユウマは優遇されていた。

 朝、電車にゆらりと揺られる。駅から少し歩いて、並木道を通り過ぎたところに会社はあった。白くて角張った大きな建物。門壁もんへきには会社の名前を記したプレートがデカデカと嵌まっている。

 会社に到着すると、ユウマの一日はスケジュールを最適化するところから始まる。

 スケジュールの最適化。それはつまり、自分が何時までに何をするのか、計画を立ててデータにするのだ。部下に対する的確な指示、休憩時間に入るタイミング、先方との交渉のため外に出たら何時までに会社へ戻る、会議時間、様々なアイディアを練る時間。それらのスケジュールを一切の無駄なく作っていく。

 スケジュールを作ることは、上司の黒谷鬼助くろたにきすけから言いつけられていたことだった。

 他にもある。朝の部署内の掃き掃除もユウマの仕事だった。たった一人の職員に毎日掃き掃
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     プロポーズをしたかった。 あれから、何度かログアウトをした。 トウマはいま、ルスプルの宝石店に来ている。 朝方だった。だけど店は営業していた。このゲームの店は全て24時間営業である。外では雨が上がり、スズメがちゅんちゅんと鳴いて散歩をしていた。 直方体の店は小綺麗な室内だった。白い床に白い壁。天井には魔導具の照明が光っている。ガラスケースの中にあるのは、宝石のついた装飾品だ。指輪、ネックレス、イヤリング、様々なものがある。ダイヤモンド、ルビー、サファイア、どれも高級そうだ。 トウマはステータス画面のヴァル残高を確認しながら物色した。 婚約指輪と結婚指輪の両方を買うつもりである。 寝ているベルフラウの指をトウマはこっそりと測っていた。細長い紙と定規を使ったのである。8号だった。 お互いがつける結婚指輪は、プラチナ製の50万ヴァルのものに決めていた。二つ合わせて100万ヴァルである。 だけど、婚約指輪はどれにすれば良いだろうか? ベルフラウの好きな宝石は聞いたことがなかった。だが、ダイヤモンドをプレゼントすれば間違いはないだろう。 残された問題はカラットである。 デカければデカいほどに値段が上がる。 トウマの視線の先には、一際光り輝くダイヤモンドの指輪があった。 5カラット……500万ヴァル。(高すぎる!) 円に直せば100万円である。 致命救済の装備効果もあるらしい。 だけど、馬鹿馬鹿しいとはこのことだった。 トウマは視線を移動させて、他の指輪を確かめる。カラットが一つずつ小さくなるにつれて、100万ヴァルずつ値段が落ちるようだ。 ステータス画面と指輪の値札をちらちらと見比べる。 そして思い悩んだ。 効率から考えれば、1カラットを買うべきだろう。 だが、それでいいのか? 結婚イベントは一回きりである。 いや、現実を含めれば二回あるのではある

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  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第178話 大好きでした

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  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第6話 助けたのに

     村の北出口から外へと出る。 草原地帯があった。ところどころには岩がある。そこにいる魔物はフェアウルフの一種類。灰色の毛並みをした狼であり鋭い牙を誇っている。大型犬ほどのサイズだ。 狩りをしているプレイヤー数は多く、必死の形相でモンスターと戦っていた。 「俺の、俺の宿代をー!」「私はまだ朝食も食べていないんだからね!」「や、やべえやべえ、こいつら強えぞ!」  トウマは顔をしかめた。このゲームのプレイヤーはみんな無職なのだろうか? 分からない。(そう言えば、俺も朝食を食っていない) ドンと音がして、頭上に文字が表示された。  ――クエスト、フェアウルフの撃破  隣にいるウミ

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第5話 梅おにぎり

     村の広場。 トウマたちは木製のベンチに並んで腰掛けていた。 ゲーム内は昼間であり太陽が出ている。近くにある桜の木が花々を満開に咲き誇らせていた。そよ風が吹いて、花びらがチラチラと地面を舞う。木枝が揺れる音がした。 大きめの梅おにぎりを、ウミが両手で持ってむしゃむしゃと食べている。モフモフと尻尾を振っており、ご機嫌のようだ。満面の笑みを浮かべている。 「美味しいですぅ、美味しいですぅ」「そりゃあ良かった」「ご主人様、ありがとうございます」「味わって食えよ」  梅おにぎり、200ヴァル。 道具屋で買ってきたものだった。手痛い出費である。 トウマは広場の光景を眺めた。中心には噴

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第4話 ヴァルの村

     ゴーレムを倒し終えると、ノーファンの村へと二人は転移した。 辺りには木造りの民家が立ち並んでいる。遠くを見ると森や山があった。地面は土。その道路で、トウマとウミは隣り合って佇んでいた。 「普通の村だな」「そのようですね」「とりあえず、狩り場に行くついでに、村を見て回ってみるか」「はぁい!」  二人で並んで歩き出す。 すぐに他プレイヤーの姿があった。 横切っていく通行人。その顔色は明らかに沈んでいた。他にも座り込んでいる女性がいた。壁にもたれかかっている男。空を見上げている魔法使いふう。誰もが死んだ魚のような目をしている。 異変に気づいたウミが声をひそめてつぶやく。不安に揺れ

  • RMTサバイバー~今日の宿代を稼ぐ俺と、人助けで戦う使い魔~   第3話 排除

    ロッジのような一室。木造りの天井と丸太で出来た壁。そこのベッドにユウマは腰掛けていた。 ここがゲームの中らしい。 顔の前にはステータス画面のような半透明の青いボードが浮かんでいる。 システム音声が響いた。 「プレイヤー様。VALORIUMオンラインの世界へようこそ!」 「あ、はい」 「まず、プレイヤー名を決めてください」 「トウマで頼む」 彼の本名は冬野悠馬である。 「トウマ、その名前は使用できます」 「良かった」 「次にゲーム内職業を選んでください」 画面には様々な種類のジョブが並んだ。 そして右上には特別コード入力の文字。そこをタップして、暗記し

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